2012年7月29日日曜日

有期雇用、上限5年の話

法改正は時にすべての人に対して優しいわけじゃない方向へ動く。

僕のような契約社員や派遣労働者が同じ会社で5年以上勤務した場合、本人の申し出があったら正社員にせねばならなくなるらしい。

まず、ちょっと考えて欲しいんだが、5年というのは結構な年数だ。使いたくないような人間ならその前に契約更新をされない。そして、使えると判断して契約している人なら5年経とうが更に使いたいと考えるだろう。
また、使われている側も正社員でもないのに他へ移っていないということは、その条件で働いてもいいと考えられる(当然不満が無いということもないだろうが)。そりゃ他に仕事が無いとか色々な事情もあろうが、それにしても5年。他を探すには十分な期間。
選択権を持っている雇用先企業がそれだけの期間使っている、使われる側も他へ移っていないということは、それなりに使える人で、双方がその条件にある程度満足しているんじゃない?と僕なんかは思ってしまうんだが。
# あくまでも個人単位で見ればだけど。複数人契約していて、その中にハズレがいる場合もあるだろうねぇ…

で、5年のその法律。
もし、雇用先の企業が、正社員にしたくない。例えばコスト面で有利だから使っているだけなら5年未満のキリがいいところで契約解除されるだけじゃないか?
例えば4年11ヶ月契約して1ヶ月してから再契約とか。そうなると、契約社員なら1ヶ月給料なし。派遣会社ならその社員の1ヶ月分会社負担になる。それは本人の賞与の査定などに影響するかもしれない。
更に派遣会社の場合、折角優秀な社員がいるならその人にはいて欲しい。本人が雇用先企業に行きたいと申し出たら雇わざるを得ないとなれば、派遣会社の方から5年以上の契約は打ち切られる可能性もある。
正直なところこの法律によって助かる人がいるのか疑問。

ところで、この新法、意外と知られていないようだ。
先日社内で進捗会議があった時、今後のスケジュールの話になった。そこで僕が
「あぁ、今年の10月11月くらいは僕働けないかもしれませんよ」
と言ったら、
「えっ!」
と驚かれたので
「今度の11月で僕ここに来て5年になるんですよ。新しい法律で、5年以上務めた契約社員が正社員になりたいって言うとしなきゃいけないから、そちら的にもやりにくくないですか?」
と返したら
「正社員になればいいじゃん」
と返されてしまった…
もっとも僕の場合はリーマンショックの時に「正社員になりませんか?」と言われたのを断っているので、向こうも僕が何年いようが「正社員になりたい」と言い出すことが無いとわかっているだろう。

あくまでも感覚の問題なんだけど、僕がこの新法で気に入らないのは個人的なポリシーの問題なのよね。
僕が契約社員をやっている理由は、そのほうが給料が高いってのもあるけど、「こっちは辞表出せばいつでも辞められる。だったら会社もいらなくなったら切れるようにしとかないとフェアじゃないよね」という考えがあるからだ。

で、そのポリシー以外にも、労働スタイルを画一的にしようとすることがどうにも納得出来ない。
よそは知らんが日本の場合終身雇用制が根付いている(人によっては既に崩壊していると言うかもしれんけど)。
企業だけでなく、労働者にもその考えは根付いている。だから公務員が一番人気になったり、大企業ばかりが人気ランキング上位に行くのだろう(中小企業は知名度がないから選ばれないとも思えるが)。

そういう会社を希望する人は「安定」が重要なのだろう。それはそれでいいと思うけど、僕なんかが思うのは、「一生同じ仕事したいか?」なのだ。

大企業でなくても正社員の安定度に憧れるのはわかるし、年金やら税金も天引きでやるから手間もかからない(その是非はさておき)。退職金制度もあるから老後の心配も軽減される。
しかし、よほど多様性のある企業でない限り、そこの主軸となる業種は決まっているわけで、その周辺業務がどれくらいあるかがその企業内の多様性だ。

確かに、大企業なら製造から金融まで持っていたりするが、では昨日まで製造ラインの監視やってた人が明日から金融窓口に行くか?といえば流石にそれは無いだろう。

僕らの仕事だと、知識を得ればそれを今の業務に活かすことも勿論だが、新たに得た知識をより活かせる次のステップに進みたいと思う人もいるはずだ。勉強してる人なら、今までは車のエンジン制御してたけど、今後はWebアプリケーション作りたいとかスマートフォンのアプリケーション作りたいと思ったりしても不思議じゃない(というより、向上心があって勉強している人は同じ所に留まりたがらない傾向が強いと思う)。

そうなったとき、希望に沿った転属をしてもらえればいいが、中々そうはいかない。そもそもやりたいことが同じ社内であるの?ということになる。
では転職するか?となるのだが、そうすればそうなったで、勤続年数が0に戻る。
退職金が減ることもそうだが、銀行やカードの審査は通りにくくなるわ教育訓練給付金もらえんくなるわ見合い話は来にくくなるわで、転職にはデメリットもある。

少なくとも今の社会において、安定した雇用条件で好きな仕事を選ぶ範囲を広げようと思ったら派遣社員というのは悪くない選択肢だと思うのだ。勿論、ちゃんとした待遇を得られるならばという大前提はあるが。

勿論理想は転職がマイナスにならないような社会だが、先に挙げたようなデメリット以外にも、転職を繰り返している人は仕事が長続きしない信用出来ない奴みたいに思われるのもあって、こっちは植えつけられた感性でもあるから、そういった考えの人を減らすのは、時間をかけるしかない。

確かに望まずに契約社員や派遣会社に登録して望まない仕事をしている人もいると思う。大勢いるのだろう。
しかしながら、その雇用形態が自分に適している人もいるのだ。
単に「契約社員」「派遣社員」などと、単純に纏めて扱わず、その中でも困っている人を助ける法律にして欲しいと思う。それを望んでやっている人もいるのだから。

そういえば多重請負の問題もあったなぁ。あれのせいでフリーでやってる人や、大企業が直接契約してくれない零細企業はむしろ大変になったんじゃないか?
例えばもし自分が大企業の側の人間だったら、個人や零細企業相手にホイホイ口座開くか?と言われたらしないと思う。
結局こういう法律って、世の中から中小零細企業を無くして全員大企業に入れようとしてるのかね?その考え方が旧態依然としているような…

やるのは難しいだろうけど、最低賃金よろしく最低契約金額決めたり、中小零細企業に務めるのは、大企業に入れない劣っている奴という考えを改める努力をしてもらったほうが嬉しい。
賢い人の中にも大きな組織を嫌ったり、小回りの効く組織が好きな人だっているだろうから。

で、ダラダラとくだらん長文書いて改めて思ったんだけど、やっぱり僕は「選択肢のある社会」を望んでいるんだな。
人それぞれの考えで働く場所や働き方を選べて、それを皆が認められるようになればそんな社会が理想。

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