統計を知らないから、普通なのかもしれないけど、愚痴を聞かされる事が多いような気がする。言いやすいのだろうか?それで相手の心の中にある余計なものが減るなら、聞くのもいいのかもと思わなくもない。
そうは思っていても、苦手なものもある。例えば仕事の愚痴がそうだ。
仕事と恋愛、実に愚痴りやすい。言いたくなる気持ちも凄〜くわかる。だ・け・ど、ぼくはそれを聞くのが苦手。だから、出来るだけ避けるようにしている。だって、その人から職場や同僚の理不尽な話を聞かされてもそれは片方の意見でしか無くて、正しい判断をするためにはどうしても相手側の話も聞かなくちゃならない。言ってることを聞くだけならそこまで気にしなくてもいいけど、何かしら意見を求められたら、そこまで知らないと答えは返せないから。
というわけで、避けていたのに、遭遇してしまった。
名古屋から帰ってきて、寝る前にちょっと飲もうと立ち寄った松戸の店。マスターに聞くと、バレンタインは大雪だったのに予想外にお客さんが多く来たらしい。その中に僕が好きそうな女性客が居たそうだ。マスター曰く「かなり酸味の強い客」。
おいおい、それが体臭ならゴメンだぜ!と思いつつも、笑いながら話を聞いていた。すると、一人の女性客が入ってきて僕の隣に座った。僕はその女性客を初めて見たけど、妙にマスターと仲が良さげ。
「あれ?マスターお客には手を出さないって言ってたけど、彼女が来るようになったのか?」
なんて思っていた。その時は。
僕の性格上、誰かの彼女さんだと思うと、こちらからは一切話をしない。だから知らん顔を決め込んでいたのだが、何かの拍子にその女性から話を振られるようになってしまった。
そして、話題はその女性の職場の事になっていく。聞いてもいないのに…
そう、そこから職場の愚痴を延々聞かされる羽目になってしまったのだ。同業でも何でもないその女性の職場の愚痴を。心の中でリフレインする「知らんがな」。でも、それを顔に出しちゃダメだ(この時点では未だマスターの彼女だと思っていた)。いつもの笑顔を作るように努力する。その間、マスターはこっちにdon't touch。
その女性がトイレに行くため席を立つとマスターが話しかけてきた。
「さっき話してた酸味がきつい女の人です。熟成されて酸味がきつくなってて好きでしょ?」
テメェわぁ〜!幸い「酸味」は体臭を指していなかったが、どうにも納得できない。
「僕、あれは無利。マスター助け舟出してくれないし、酷くない?」
ってな返答をすると、
「一緒に泥船に乗りましょうよ」
との返答。
「その泥船、僕しか乗ってないじゃん!」
と返しても笑いのリターンがあるのみ。あぁ…
時間も遅くなったので、お会計して帰るときにマスターが
「バー泥船を宜しく」
なんて笑顔で言っている。
もぉ、なんちゅーか…
最近、人からの仕事の愚痴を聞かされそうになるのを避けるようにしてたら、それの倍返しみたいに今日の出来事に出くわし、運命ってそういうものなのか?と真剣に考えたくなってきた。
余談だが、その女性は僕の知り合いの女性に似ていたのだが、顔が似ているからなのか、声も似ていた。骨格で声を再現できるっていうのはあながち間違ってないと思った。