2014年4月18日金曜日

四谷三丁目、19時、30分。バーボン1杯

四谷三丁目近くの「桃太郎」という店がある。野菜鍋が売りの店だ。この野菜鍋は以前
ちんぶろぐ: 野菜鍋@荒木町で食べて気に入ったので、又行こうと思っていた。

そして、ぼくらはちょくちょく何人かで「美味いものを食べよう会」みたいなことをしている。その会で行く店として、この店で19:30から予約を入れていた。
余談だが、最近気温が高い。鍋は冬なら更に美味い。今度冬に改めて来よう。

ぼくは待ち合わせの時間より30分早く、19時に現地に着いてしまった。とりあえず喫茶店で時間を潰そうか、それとも幾つかあるカジュアルなワインバーに入ろうかと悩んでいたら、バーを発見。外から見るとウィスキーがそこそこありそうだ。ここで2杯くらい飲んで時間を潰せば丁度よかろうと思い扉を開ける。

白髪のマスターは60代くらい(というか後の会話でそのように言われたのだが)。人当たり良く接客してくれる。棚に並ぶ酒を見渡してみればウィスキーばかり。その中で、最近あまり見なくなった酒を注文。

「ブラントンのストレート・フロム・ザ・バレルをロックでください」

出てきてびっくり。酒はストレートでグラスに注がれ、氷の入ったグラスを別に出される。そしてチェイサー。その出し方も初体験だが、それ以上にぼくを驚かせたのはその量。

「これ、トリプルくらいありません?」
「いやぁ、トリプルは無いよ。ダブルよりちょっと多いくらいかな。」

普通に考えたら有難い。だがしかし、この酒はその名の通り樽からそのまま出した酒。度数は加水調整されているウィスキーより遥かに高い。因みに136プルーフと書かれていた。68度ということだ。

予想外の量に、この一杯で店を出ることが確定される。でも、この一杯と自分の人生の20分程度の時間をシェアするのも又楽しい。

最初は僕も棚に並ぶ酒を眺めていたりして、それでも真剣に、ハンターのように酒を見るのも「違うな〜」なんて思いながらもやっぱり棚をちらちら見ていた。棚の奥に並ぶ酒を見ないようにするのは僕なりの礼儀だ。その間、余り話さなかったマスターはカウンターの隅で何やら削るだか磨くだかの作業をしている。気になって聞いてみたら、木彫のイルカを棒に巻いた布で削っていた。1日でコンマ数ミリしか削れないが、その単純作業の間に昼間のことを考えられるからそれが好きだとか。

そこから火が着いたのか会話が弾む。僅か10分足らずの間に色々な話が出来た。でも悲しいかな待ち合わせの時間になる。
チェックを言い、請求された額はボトルに書かれた酒の値段のみ。この店、付け出しにカボチャサラダを出してくれたし、カウンターのお菓子も好きに食べていいとか言ってくれたのにチャージが無いらしい。
そして、更に残り少なくなったボトルを見て
「あ、もうこれだけしか残ってないから、サービス」
と言って、ボトルに残った酒をくれた。10ml程度だろうか。更に
「これくらいならキュッと飲めるでしょ」
なんて言われた。有難いけど、68度の酒はミネラルウォーターとは違うんだけどなぁ…

僅か30分未満の間にこれだけの文を書けるエピソードを作ってくれたあのお店のマスターに感謝。

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