2012年11月29日木曜日

両替と計算

昼食に行った店でのこと。

突然、
「お兄さん、1万円両替出来ない?」
と聞かれた。5千円分千円札があったんだが、1万円分は無かったので、ごめんなさい。
すると、離れた席にいたお兄さんが9千円なら持っているとのこと。
そこで、お店の人はそのお兄さんから9千円を渡してもらい、お会計をしていたお客さんにおつりを払う。

だが、そのお兄さんに9千円を返すことは出来ない。なんせ、返せるくらいならお釣りで出しているだろうから。
やり取りを見ていると、お店の人は、800円のランチ代を支払ってもらったことにして1万200円渡せばいいと思ったらしい。
ん?おかしいぞ?
9千円から800円引いて8200円。なのに1万200円渡したらお兄さんは2000円の得だ。
だまっていれば得ができるのに、そのお兄さんは正直に
「これだと僕が2000円得をするので、両替してきます。荷物は置いておきますから」
と言って店から出ていった。
いやいや、そのまま逃げても食い逃げじゃないし(店員さんはきちんと800円もらったつもりなので)。
暫くして1万円を両替してきたお兄さん。説明をしつつ金のやりとりをして、きちんと800円払ってから店を出ていった。

しかし、店員さんはそのお兄さんの言い分が納得出来なかったらしい。自分は800円もらったはずなのに…という感じだ。
しかし、食事をしようがしまいが、9千円もらって1万200円払っているのだ。その時点で1200円の支出。更に食事代800円をもらっていない。
店員さんが、「貰い過ぎた」と思って納得していないのか、「取り過ぎた」と思って納得していないのか僕にはわからない。

しかし、
「あのお兄さん偉いですよね。得してたのに正直に自分から言ってくれて」
と僕が言ったら、その言葉には納得していた様子。
この話、お店をやってるんだから金勘定くらい出来るんじゃないか?と思うかもしれないけど、貰ってお釣りを計算することばかりの立場だから、逆の計算に慣れていないのだろう。自分がやり慣れてしまったことの逆は、簡単なことでも混乱するものだな。

それはさておき、あのお兄さん、実は手数料払ってコンビニで金を下ろしてきたんじゃないか?という疑惑が僕にはある。
だとしたら、本当にいい人だったんだなぁ。

ところで、1万円の両替に金が足りなかった時点でそもそもダメだってことに気付くのには結構時間がかかる。


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