2012年5月4日金曜日

声がかけられない時

名古屋の丸の内駅。浄心へ向かうため本を読みながら電車を待つ。
反対側のホームへ着き、走りだした電車の「豊田」という行き先を見て何故か「しまった」と思い、そちら側のホームへ改めて立つ。次の電車は10分後。
10分後に来た電車に乗り、次の駅「伏見」で又々「しまった」と思う。
結局最初にいたホームは正しかったのに、何故か反対と勘違いし、一駅移動してから間違っていたことに気付いたのだ。その後浄心まで着いたが。

浄心で食事を終えた後、夕方まで時間が空いている。ふと、昔住んでいた辺りへ行こうと思い立ち、上小田井へ移動。

上小田井駅へ着き、バス停の時刻表を見ると、えらくバスの本数が少ない。否、昔からこんなものだったのかもしれないが、1時間に2本では待つ気になれない。北区まで歩くことにした。

歩いていると、目の前に行列が。「何かあるのか?」と思っていると、なんのことはない。ショッピングセンターのワンダーシティへ向かう人の群れ。流行っている。

ワンダーシティを抜けると人通りも減る。その後、昔行っていた模型屋が移転しているのを発見したり、友人の家が廃墟っぽくなっているのを見たりしながら、小学校の学区へ到達。
「ここってxxの家だよなぁ~」
と思う家は何軒もある。そんな街をうろうろしていると、小学校の頃仲の良かった友人の家の近くへ。ただ、この家、建て替えられて随分オシャレになっている。てっきり、別の人の家になったものと思っていた。しかし…家の前に停まっている社用車に書かれている社名は彼の務めている会社。
「あれ?」
と思っていると一人の男が目の前を通り過ぎその家に入っていく。
「あ!」
同級生だったのに、何故か言葉が出なかった。

もう10年以上会っていない人に突然出会った。しかも相手はこっちが見えていない。この状態で声をかけられず終わってしまったのだ。もしかしたら次に会う機会は無いかもしれないのに。
全く惜しいことをしてしまった。

そういえば最後に彼が僕へ電話をよこしたときは、トイレでうんこしながらだった。
「おう、敏彦、何しとる」
「おまえこそ何してるんだよ」
「俺か?今うんこしとる」
その後受話器越しに水の流れる音。

ああいうバカな会話が出来る相手と、久しぶりに喋る機会を逃したことは実に惜しい。

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